カウンセリングの技術

私はうつの人にも「頑張って」と言いますよ。だってみんな頑張って生きているんだもん。

 

うつの人には「頑張らなくていい」と言えというのが、カウセリングでは当たり前だと思われていますね。

でも、私は多くの悩む人のお話を聞いてきて、やっぱりこれが間違っているということを日々痛感しています。

 

確かに、うつになる人は頑張りすぎてなります。

生真面目で、「ねばならない」人で、人に迷惑かけられない人で、抱え込む人で、「疲れた」も言えない人で、自分が頑張れば事が丸く収まるくらいに思ってしまっている人だからね。

確かに、頑張りすぎてなっているんです。

 

でも……よく考えてみてください。

じゃぁ、

うつじゃない人は頑張っていないんですか?

 

 

違うよね。

み~んな、多かれ少なかれ……いや、み~んな精一杯頑張って生きています。

ということは、私は「頑張らなくていいんだよ」ということは、
「生きる努力をしなくてもいい」という言葉にしか聞こえないんです。

うつの人だって、これから生きていくためには頑張らなきゃいけない。
ってか、うつを治すためにも多少でも頑張って向き合わなきゃいけないんです。

 

だからって、今まで頑張りすぎて来たところを、「もっと頑張れ、頑張れ」とお尻をたたけと言っているのではありませんよ。

それは大きな間違いです。

 

そうじゃなくてね。

頑張り過ぎてうつになってしまった人たちは、み~んな頑張るところを間違えて頑張っているから、うつ症状になってしまうということを、ちゃんと理解できないとダメです。

 

うつになってしまう人は、

本当は向いてないことを無理やり頑張りすぎる。
本当は居たくない居場所で居続けるために頑張りすぎる。

……など、もう本当はそこで頑張っちゃいけないところで頑張りすぎてしまうから病んじゃうんです。

 

本当にそれをやり続けなきゃいけないの?
本当にそこに居続けなきゃいけないの?

それを解決する方法はないの?
ある? でも勇気がない?

でも、自分を助けるためにそれを解決するために頑張れない?

 

そんな風に自問自答して行ければ(もしくはカウンセラー等がちゃんとリードしてあげられれば)、今まで間違って頑張りすぎてしまったところを、正しい場所で頑張ることができるようになるのです。

 

過去にうちにご相談いただいたかたの中で、
「だって、家族に心配かけられないから会社をやめられない」
と言っていたかたがいました。

でも、カウンセリングをしていくと、やっぱりその人はその会社に居続けたくないと思っているということを自分でも理解し、そして、頑張って自分のために転職することを決めました。

 

環境を変えることを決意するなどは、とても勇気がいることです。

今まで自分の希望をできるだけ言わないようにして来た人は、自分の意思を通そうと思う場面ではとても頑張らなきゃできません。

でも、そこは誰も頑張ってあげることができない。

自分を守る行動は自分で頑張るしかないんです。

私は相談を受けたときに、そのようなことを一生懸命お話します。

だから私は、どんなにうつの人にも最後は必ず「頑張って」と声を掛けます。

「ただ、頑張るところを間違えないでね! 今までのところじゃないよ!
 ちゃんと自分を守れるところを考えて頑張らなきゃダメだからね!」
と、いう注釈を必ずつけてね。

 

相談を受ける側は、ただ単純に「頑張らなくていいんだよー」なんて言うのではなくて、一生懸命カウンセリングし、何がその人を苦しめているのかをきちんと確認した上で、その人が正しく頑張る場所を教えてあげることが大切なんです。

 

カウンセラーのかたのブログなどを拝見してたりしても、耳障りのいいことをたくさん目にします。

でも、耳障りのいい言葉というのは、依存を生み出すだけなんです。
「頑張らずにその場にいていいよ」
という言葉は、決して、いつか自分が立てるようになる言葉ではありません。

そこで依存を生み出しても何の解決にもならない。
自分で解決して行ける力を養うしかないんです。

カウンセラーはそれを助けられなければいけません。
私はカウンセラーの仕事ってそういうことだって思っています。

 

もちろん、「正しいところで頑張ってごらん」というのにも時期は必要です。

本当に疲れて倒れてしまったばかりのときに
「そうじゃなくてここで頑張れ!」
と言っても、もうそこに顔を向ける気力のないときもあります。

でも、
「正しいところを向かなきゃダメなんだよ。あなたが頑張るべきところはどこだろう?」
と話し続けていると、時期が来たら必ず自らの力でそっちを向いてくれるようになるんです。

それを話し続けて行かない限り、「そっちを向こう」という意識すら生まれず、ずーっとその場で『頑張らないことを頑張る』ことしかできないんです。

 

相談を受ける側の人は、相談者の時期の見極めやテンションなどを見極めるのも、とても大切な仕事です。

モラハラ夫の言葉に疲れ切ってしまい、自分で動き出せるまでに半年以上かかった人もいました。

でも、自分で立てるようになれば、あとはちゃんと自分で歩き出すんです。

 

無駄に依存を生み出すカウンセリングではなく、きちんと自分の足で立って歩いて行けるようなカウンセリングをしてもらいたいって思います。

そのためにも、その人の本心や適正。
そして自分でも気づかない無意識の部分のことを気づいてあげられるよう、悩みを聞く技術を上げて行かないといけなんいです。

 

そのためには言葉の意味もちゃんと理解しなければいけません。

そのためには、相談を受ける人間も、これからずっと頑張っていかなければいけませんね。

 

 

こんな話を『カウンセリング勉強会』で伝授します。

12月22日(土) 東京都板橋区で13時半より開催。
12月26日(水) 東京都板橋区で13時半より開催。

少人数制の勉強会です。
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