以前、少し長文めのメールをもらいました。
本当は私に話さなければいけないことを話せなかったと。
その内容と謝罪が書かれていました。
私は
「そうかー。寂しいって感じるところもあるけれど、でもそれはこうだったからだよね?」
と、正直な気持ちを返しました。
「こうだったからだよね?」は、ちゃんと相手の気持ちを理解したよと表現したつもりです。
それに対してのお返事は
「そうです。こうだったから……本当にごめんなさい」
と、最初のメールも含め何度も何度も「ごめんなさい」と書かれていました。
そこで私、ちょっと待って……となったんです。
あなた、そこまで私に悪いことしたの?
してないよね?
私はそう伝えました。
相手は私に悪いと思ってくれていたのでしょう。
でも、少なくとも私は、そこまで悪いことをされたとは思っていません。
それをなんでそんなに「ごめんなさい」を言ってしまうんでしょうか?
そのごめんなさい……本当は誰のために言っているんでしょうか?
その「ごめんなさい」は本当に相手のためですか?
数年前にも忘れられないことがありました。
信じていた人……というか、全く疑ってもいなかった人……私のことを「憧れの人」とか言って近寄って来た人が、裏では平気で『裏切り』だと感じるようなことをしていた。
私がそのことを知ったのは数ヶ月後で、もちろんそれまで当人からはちゃんとした連絡もありませんでした。
あまりにもやりきれない気持ちになり、知ったのが酔っていたのもあって大号泣。
そして、そのやりきれない気持ちを酔った勢いでFacebookに書きました。
この出来事は、正直今思い出しても腹が立つ出来事だし、もう数年前の話だけれど私は今その人を思い出しても、やっぱり大嫌いです。
そうしたら次の日にその人からLINEが来たんです。
そこには
「記事を読みました。あれ、私のことですよね。
もしそうじゃなかったとしてもちゃんと話さなければいけないとずっと思っていました。
私は別にふみえさんを裏切る気持ちは全くありませんでした。
それでも傷つけるこにとなってしまったこと、本当に申し訳なく思っています。
ごめんなさい」
内容はこんな感じだったと思います。
読んだ瞬間……
私は、ふざけるなよと思いました。
私のことを本当に考えていたら、私が真実を知って怒り心頭になったり、大きなショックを受けてしまう前に、誠心誠意の言葉で私に話をして来たはずです。
それが相手を思いやるということです。
後出しジャンケンで謝ったって、謝ったことになんてなりません。
どうやって気持ちを収めるの?って話です。
そう、謝罪のほとんどは自分のためなんです。
この謝罪……。
私がなぜ不快に思ったか、読んでいる多くのかたも気づいているかと思います。
そう。
この謝罪は、私のだめではなく、自分のためにしているからです。
じゃ、なんで自分のために「ごめんなさい」と言う必要があるんでしょうか?
答えは簡単。
保身
それだけしかありません。
人間誰でも自分が可愛いからね。
自分のこと守りたいからね。
だから、人に責められる前に、取り敢えず謝っておく。
そう。
自分をいい人に見せるためにね。
相手のことなんて考えてないよ。ホントに。
自分が「ごめんなさい」って言って、謝っている自分に酔っているだけ。
そんなごめんなさいなんて、全く意味がないってことにも気づかないでね。
そして、それでも相手が許さなかったら「謝ってるのに……」とか言って、「謝ったんだから、もうそれ以上どうしようもないじゃない」と、今度は事が収まらないことを相手にせいにする。
そもそも事を起こしたのが自分だということも忘れてね。
そういうために「ごめんなさい」を言う人もとても多いんですね。
「ごめんなさい」ではなくできるだけ「ありがとう」を使おう
もし、冒頭の例のように「話さなくて(話せなくて)ごめんなさい」と言ったとしましょう。
一度くらいは「話せなくてごめんなさい」はアリだと思うしね。
それでいいと思います。
ただ、もしその後に相手がちゃんとそれを読んで返事をくれた……
こちらを向いて話をしてくれたのだったら、もうそこからは謝る必要はありません。
「話を聞いてくれてありがとう」
に変換した方がお互いに気持ちよくなりますよね。
よくなんでも「ごめんなさい」って言えば事が済むと勘違いしてしまっている人もいますが、それって大きな間違いですよ。
人間、ごめんなさいって言われてもあんまり嬉しいものじゃないんです。
「ありがとう」って言われた方が数十倍嬉しい。
だったら、「このシーンでありがとうって言えないかなぁ?」って考えてみましょうよ。
私は意外とありがとうは大安売りします(笑)
その代わり、ごめんなさいは言いません。
相当のことがない限り言いません(笑)
よく何かをしてもらって「やってもらっちゃってごめんねー!」と言う人がいますが、謝るくらいなら、やってもらうなって話です。
「やってもらってありがとう!」の方がよっぽど、お互いに気持ちいいでしょ?
まとめ
「ごめんなさい」と謝れることは大切なことです。
でも!
ごめんなさいと謝るのは、本当に自分が悪かったと思ったときだけにしましょう。
ごめんなさいを大安売りしても、人間関係はうまく行きません。
ましてや、謝る必要のないところで、自分を低くして謝る必要はありません。
それどころか、自分を守るためには謝ってはいけないシーンというのもたくさんあります。
相手に対して本当に悪いことをして、誠心誠意それを伝えたいときってそんなに多いシーンではないと思うんです。
ごめんなさいを大安売りする人もいたかと思うと、世の中には、本当に大切な場面でごめんなさいが言えない人もいますよね。
例えば事故の加害者になったのに誠心誠意謝れないとか。
昔、うちの先代犬がよその犬に噛まれて。
でも飼い主はそそくさと逃げようとして、謝らせるのに随分手間取ったことがありました。
もちろんただ「ごめんなさい」とか言われたって許せることじゃありません。
先代犬の小麦はそれで命を落とすことはなかったけれど、緊急手術で縫わなければいけなかったし、「もしかしたら細菌が回ったり、ショック死する子もいるから今晩ひと晩の可能性も」なんて言われるし。
そんな状態で「ごめんなさい」だけでは許せるものではありません。
でも、謝れるのと謝れないのとでは、その後が大きく変わりますよね。
相手の飼い主は「うちは狂犬病の注射はしているし」とかわけのわからないことを言って逃げようとしました。
「そんな問題じゃないだろ!」って言いたくなりますよね。
こういうときは、本当に誠心誠意謝れなきゃ人間として失格です。
でもこんな場面ってそうそうあるわけじゃありませんよね。
「ごめんなさい」は、本当に大切な場面にとっておきましょうよ。
人間関係を円滑にするのは、「ごめんなさい」より「ありがとう」です。
相手の時間を使わせてしまったとき、
「無駄な時間を使わてしまってごめんね」
ではなく、
「時間を使ってくれてありがとう」
です。
本当に相手のことを思えるのであれば、「ありがとう」を上手に使えるようにしましょうね。